伊藤若冲(いとうじゃくちゅう・1716~1800)は18世紀後半に京都で活躍した画家。錦小路の青物問屋の長男に生まれたが40歳で弟に家業をゆずり以後画業に専念する。宋・元・明の中国古画の研究、さらには実物の写生も重要視、光琳の装飾画風をもとり入れるなどして、独特の造形感覚による個性的な画風を生みだした。象、犬、虎、花などの動植物を描き特に鶏(ニワトリ)を得意とした。
伊藤若冲に出会えるおすすめ美術館
所蔵作品/菜蟲譜(重要文化財)
「菜蟲譜」は野菜・果物等約100種、昆虫等約60種が描かれた11メートル弱におよぶ巻物。
⚫︎
美術館概要:地元旧家・吉澤家において、江戸時代後期以来5代200年間に渡り収集したコレクション・施設の寄贈を受けて公開。伊藤若冲などの近世の絵画、橋本雅邦など近代の日本画、東山魁夷など現代の日本画、板谷波山などの近現代の陶芸など幅広い。
所蔵作品/鳥獣花木図屏風、群鶴図 他
アメリカの日本美術コレクター、エツコ&ジョー・プライス夫妻(プライス財団)によって蒐集された伊藤若冲、円山応挙、酒井抱一など日本美術を代表する名品の一部190点を2019年に購入、出光美術館の所蔵となった。「鳥獣花木図屏風」はさまざまな鳥や動物たちが升目描きという技法で描かれた若冲の代表作の一つ。
⚫︎
美術館概要:手鑑「見努世友」、伝藤原行成「久松切和漢朗詠集」をはじめ日本、中国の書跡の名品や縄文土器から江戸時代までの日本の主要な陶磁器、国内外の絵画など多彩なコレクションを収蔵、展示。収蔵品による企画展は年6回、特別展も開催。東京の帝国劇場9階に位置し、皇居周辺が眺められるようにソファが配置されたロビーが休憩スペースとなっている。
所蔵作品/松梅孤鶴図 他
「松梅孤鶴図」は逆さにした卵から真っ直ぐ足がはえているようなユーモラスな鶴と、松の幹、白梅が描かれた独特なアレンジの作品。
⚫︎
美術館概要:明治5年に開館した日本で最初の博物館。日本を中心にした東洋のさまざまな国や文化の美術作品、歴史資料、考古遺物などを収蔵。その数は11万件以上に及ぶ。主に所蔵品と寄託品で構成される総合文化展(常設展)の他、年5回程度特別展を開催している。
所蔵作品/動植綵絵(30幅) 他
「動植綵絵」は、鳥、鳳凰、草花、魚介類などを描いた30幅の花鳥画。「群鶏図」「老松白鳳図」などは特に有名。
⚫︎
美術館概要:代々皇室に受け継がれてきた御物の中から国へ寄贈された絵画・書・工芸品などの優れた作品を広く公開するための施設で、2023年11月「皇居三の丸尚蔵館」と名称を新たにしてリニューアルオープン。収蔵品は、平安時代の書や鎌倉時代の絵巻、さらに狩野永徳、伊藤若冲から近代まで各時代を代表する貴重な作品が数多く含まれている。なお施設は現在も増築が進められており、2026年フルオープン予定。
収蔵作品/孔雀鳳凰図 他
「孔雀鳳凰図」は細部までほどこされた緻密な描写が見事な作品で、2016年に、83年ぶりの大発見として話題になった。
⚫︎
美術館概要:箱根・小涌谷に建つ私立美術館。コレクションの中心は、近世・近代の日本画と、東アジアの陶磁器。常時約450点の美術品が展示されている。 美術館正面には源泉掛け流しの足湯が用意され、 福井江太郎による巨大壁画「風・刻(かぜ・とき)」が迎えてくれる。
所蔵作品/樹花鳥獣図屏風
「樹花鳥獣図屏風」は11万6千個あまりの方眼に一つ一つ彩色していく「升目描き」と呼ばれる若冲独自の描法で動物や鳥を描いた作品。
⚫︎
美術館概要:静岡県の総合美術館。枡目描きで描かれた伊藤若冲〈樹花鳥獣図屏風〉を始め池大雅、歌川広重、モネ、ゴーギャンなど国内外の絵画を展示する本館と、 「地獄の門」や「カレーの市民」をはじめとするロダンの彫刻作品を中心に展示するロダン館がある。 屋外彫刻プロムナードも館の特徴のひとつ。
所蔵作品/糸瓜群虫図 他
「糸瓜群虫図」は長細い瓜に群がる様々な虫たちとともに、虫食いの跡やつるの細部までを丁寧に描いた作品。
⚫︎
美術館概要:コレクションは愛染明王像(平安時代)をはじめ30数件の重要文化財が含まれ、 日本美術のほとんどすべての分野、時代を網羅。各季節、多彩な企画展を開催。 建物の設計は大江匡。最上階は数寄屋建築の名匠、中村外二による展望茶室「古香庵」も。
所蔵作品/釈迦如来像 他
京都錦小路の青物問屋に生まれ、絵師として活躍した若冲が描いた作品が多く所蔵されている。 水墨画の傑作である重要文化財「鹿苑寺大書院障壁画」の一部が移設され常設で展示されている。
⚫︎
美術館概要:京都五山第二位に列せられる名刹相国寺境内にある美術館。 収蔵品は鎌倉・室町から江戸期にわたる墨蹟・絵画や工芸品が主で、 国宝4点・重要文化財111点を含む数百点を数え、茶道具も多く収蔵。 順次入替しながら常時展示している。伊藤若沖の芭蕉図と葡萄図が常設。
所蔵作品/果蔬涅槃図 他
「果蔬涅槃図」は大根を釈迦に見立て、菩薩や羅漢、動物・鳥をさまざまな京野菜や果物であらわした見立て涅槃図。戯画の一種でもある。
⚫︎
美術館概要:明治30年「帝国京都博物館」として開館し、昭和27年「京都国立博物館」と改称された国立の博物館。 京都に伝来した美術作品や文化財、また日本・東洋の古美術品や埋蔵文化財などを収蔵。 また、平常展示館では、考古遺物・陶磁器・仏像を中心とする彫刻作品や 古代から近世にかけての絵画・書跡・染織・漆工・金工などの美術工芸品を展示。
所蔵作品/象と鯨図屏風 他
「象と鯨図屏風」は勢いよく潮を吹く鯨と、うずくまって鼻を高々とあげた象とを対置させた水墨画。
⚫︎
美術館概要:信楽の美しい山々に囲まれた美術館。桐紋陣幕屏風(桃山時代)などの日本の美術品や 隼頭神像(エジプト)、精霊と従者浮彫(アッシリアのレリーフ)など世界の古代美術品を収蔵、展示している。 建物の設計は、フランス・ルーブル美術館のガラスのピ ラミットを手掛けたI.M.ペイ。
その他の伊藤若冲の作品を所蔵する美術館
● 伏見人形七布袋図 | 国立歴史民俗博物館 (千葉県) |
● 月夜白梅図 他 | 千葉市美術館 (千葉県) |
● 鯉図 | 東京藝術大学 大学美術館 (東京都) |
● 乗興舟 | 大倉集古館(東京都) |
● 海棠目白図 | 泉屋博古館(京都府) |
● 鸚鵡図 他 | 和歌山県立博物館 (和歌山県) |
● 群鶏図 | 島根県立美術館 (島根県) |
● 付喪神図 | 福岡市博物館 (福岡県) |
日本の名品に出会える美術館