有名建築家が設計した東京の美術館と、建築に関連する展示を観られるミュージアムをご紹介。建築賞を受賞するなど実績ある建築家が設計した美術館は、アート鑑賞のみならず個性的な外観や、創意工夫を凝らした内部など建物見学も併せて楽しめます。さらに、建築模型や建築図面など建築に関連する貴重な資料を観られるミュージアムもご紹介します。
明治期には映画館、昭和初期には日活本社が建っていた場所で、1952年に国立近代美術館の映画部門として始まり、1970年に東京国立近代美術館フィルムセンターと改名して開館。その後の活動を経て、2018年4月に独立行政法人国立美術館の6番目の館として設立された日本で唯一の国立映画機関。国内外の映画フィルムや、ポスター、映写機など映画関連の貴重な資料を所蔵し、所蔵フィルムの上映や映画に関する企画展示を行っている。
2011年6月リニューアルオープンの美術館は、2010年にオープンした図書館棟と一体化した「知の複合施設」。美術作品からポスター、椅子などのデザイン資料約4万点を所蔵するほか、「椅子ギャラリー」や「イメージライブラリー」も併設。年間十数回の多彩な企画展示やコレクション展の開催を予定している。
緑豊かな砧公園の一角に位置する美術館。近現代の作品を中心に、日本国内や海外の作品も含め約16,000点の美術作品を収集。なかでも、アンリ・ルソーなど素朴派などの作品、世田谷区ゆかりの作家の作品は、コレクションの大きな柱となっている。また、北大路魯山人の作品、駒井哲郎の版画作品も多く所蔵している。
— 美術館・博物館設計での主な受賞歴 —
● 世田谷美術館/毎日芸術賞(1986年)、45回日本芸術院賞[建築](1988年度)
小平市が生んだ、日本近代木彫界の巨匠彫刻家・平櫛田中(文化勲章受章者)の終えんの館を保存し、公開するために展示館として開館。庭園を観賞する中で、平櫛田中芸術の真髄(優れた写実力と深い精神性、彩色など)を味わえる。田中が107歳で亡くなるまでの約10年間を過ごした大江宏設計の旧宅は記念館となっている。
中近東の歴史的文化を専門的に研究、成果を公開する施設。 「粘土の文明シュメール」「ファラオの時代のエジプト」「ローマ時代の中近東」 そして「モンゴルの侵入とイル・ハーン朝」など収蔵品で、年代順に常設展示。
— 美術館・博物館設計での主な受賞歴 —
● 宮崎県立美術館/第52回 日本芸術院賞[建築](1995年度)
江戸東京の歴史遺産を守り、東京の歴史と文化を振り返ることによって未来の東京を考えるために設立された博物館。常設展示室は「江戸ゾーン」「東京ゾーン」「第2企画展示室」で構成。浮世絵や絵巻、着物、古地図、大型模型などが展示されている。※大規模改修工事のため全館休館中(~2025年度(予定))
— 美術館・博物館設計での主な受賞歴 —
● 島根県立美術館/第7回しまね景観大賞(2000年)、第9回公共建築賞優秀賞(2004年)
『生活の中の美』を基本理念とし、1961年東京・丸の内に開館、2007年に六本木・東京ミッドタウンに移転した。
収蔵品は、絵画、陶磁、漆工、染織など日本の古美術から東西のガラスまで、国宝1件、重要美術品21件を含む約3,000件に及ぶ。常設展は無く年間約6回の企画展を開催している。
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絵画、 書跡、彫刻、陶磁、漆芸、金工、木竹工、染織など、東洋古美術品を多岐に渡り収蔵し、国宝、重要文化財等も多数みられる。茶の湯の道具と仏教美術品はことに充実している。施設内の広大な自然味の深い庭園の散策も楽しめる。
明治神宮の御祭神である明治天皇・昭憲皇太后ゆかりの品々を保存、展示するため、令和元年10月に開館したミュージアム。設計は隈研吾。明治天皇・昭憲皇太后が実際に御使用になった御物や、明治天皇が御在位中に制作活動を奨励した画家や工芸家の美術工芸品など多岐にわたる収蔵品を展示している。
— 美術館・博物館設計での主な受賞歴 —
● 那珂川町馬頭広重美術館/第14回村野藤吾賞(2000年度)
● 根津美術館/毎日芸術賞(2010年)、第52回 建築業協会賞(2011年)
コレクションを持たず、国内最大級の展示スペースを生かした多彩な展覧会の開催、美術に関する情報や資料の収集・公開・提供、教育普及等、アートセンターとしての役割を果たす新しいタイプの美術館。透明で大波のようにうねるガラスカーテンウォールが特色。
設計は黒川紀章・日本設計共同体
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— 美術館・博物館設計での主な受賞歴 —
● 国立新美術館/第49回 建築業協会賞(2008年)
● 広島市現代美術館/日本建築学会賞作品賞(1990年)
● 入江泰吉記念 奈良市写真美術館/第48回 日本芸術院賞[建築](1991年度)
渋谷区松濤の住宅街にあって、独創的な造形や、光の捉え方に独特な感性をもった白井晟一設計の美術館。様々なジャンルや、時代に関わらず独自の企画展を中心に、渋谷区に関連する公募展、絵画展の他、講演会、美術映画会、美術教室、経験豊富なアーチストを招いて美術相談などを開催している。
浮世絵師 葛飾北斎が生まれ育ったゆかりの地に建つ美術館。北斎の作品や資料を主に所蔵し、墨田区が収集したもの、北斎や浮世絵研究で知られるピーター・モースや楢崎宗重から譲り受けたものなどがあり企画展などで公開している。常設展示では北斎のアトリエ再現模型や、北斎漫画などをタッチパネルで紹介している。建築設計は妹島和世建築設計事務所。
子供達の何気ない仕草や表情などを描いた絵本画家いわさきちひろ。建築家・内藤廣の設計によるこの美術館は、ちひろが最後の22年間を過ごし、絵を描きつづけた場所に建設され、ちひろ愛用のソファに座って絵が観られる展示室、より忠実に復元されたアトリエやちひろの愛した草花が咲く「ちひろの庭」など、ちひろの思い出があふれている。
— 美術館・博物館設計での主な受賞歴 —
● 高知県立牧野植物園牧野記念館/第13回村野藤吾賞(1999年度)
● 鳥羽市立海の博物館/日本建築学会賞(1993年)、吉田五十八賞(1993年)、
芸術選奨新人賞美術部門(1993年)
● ちひろ美術館・東京/第45回 建築業協会賞(2004年)
大正15年に上野恩賜公園に東京府(都)美術館として開館。現在の建物は1975年9月に建築家 前川國男が設計し開館。日本画・油絵・彫刻・工芸・書のほか版画・写真・盆栽など多岐にわたる美術団体の公募展を開催。また、常設展はないが、報道機関との共催で大規模な企画展を行っている。2012年4月リニューアルオープン。
多彩なイベントや講演会、個性的な展覧会など、独特の視点で現代美術を紹介している。 コレクションは1960年代以降に制作された海外作品が中心。
印象派の絵画およびロダンの彫刻を中心とするフランス美術コレクション(松方コレクション)を母体とした西洋の美術作品専門の美術館。中世末期から20世紀初頭の名画や彫刻など世界各国の美術品を所蔵。また約4,500点を数える版画(2022年4月現在)も所蔵している。世界遺産に登録されたル・コルビュジエ設計の建物も見どころの一つ。
美術館をスミからスミまで探れる「建築探検マップ」を常設展示室で配布しています。また、国立西洋美術館HPからダウンロードすることもできます。
— 美術館・博物館設計での主な受賞歴 —
● 国立西洋美術館/世界文化遺産登録(2016年)
美術品などの保管業務を行う寺田倉庫が、作家やコレクターから預かっている貴重なアート作品を公開する施設。絵画、彫刻、インスタレーション、デジタルアートなどの作品を、コレクターのこだわりとともに展覧会で鑑賞できる。また模型保管庫見学では、建築家や設計事務所から預かり保管している建築模型の一部が展示され見学することができる。
日本の近現代建築に関する図面や模型などの資料の劣化や散逸を防ぐことを目的とし、収集・保管するための文化庁の施設。日本の建築文化を多くの人々に知ってもらうための展覧会や普及活動を行っている。