東京都内で、桜や紅葉が楽しめる美術館の庭園をご紹介。手入れのゆきとどいた日本庭園や、芝生の広がる庭には四季を彩る樹々に加えて池や茶室、移築された歴史ある建物、カフェなど各美術館が趣向を凝らした見所も。アート鑑賞の後は、ゆっくりと庭を散歩したり、ベンチで庭を眺めながら余韻を楽しむのもおすすめ。
明治5年に開館した日本で最も長い歴史をもつ博物館。日本を中心にした東洋のさまざまな国や文化の美術作品、歴史資料、考古遺物などを収蔵。その数は12万件以上に及ぶ。主に所蔵品と寄託品で構成される総合文化展(常設展)の他、年5回程度特別展を開催している。
庭園情報:本館北側に、四季折々の花や紅葉に彩られる庭園があり、現在は通年一般開放され自由に散策ができる。庭園内には5棟の茶室があり、茶会・句会等に利用できる。
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絵画、 書跡、彫刻、陶磁、漆芸、金工、木竹工、染織など東洋古美術品を多岐に渡りそれぞれの分野の名品を収蔵。茶の湯の道具と仏教美術品はことに充実している。
庭園情報:都会のオアシスとも言われ人気が高い庭園は、石畳の小径を進み樹々の中へ入ってゆくと、茶室やさまざまな石造物を鑑賞しながら散策ができる。毎年4月末ごろには茶室「弘仁亭」の前の池の燕子花が花を咲かせる。◎庭園の利用は美術館入館者に限ります。
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昭和8年朝香宮邸として建てられたアール・デコ様式の建物を美術館として公開。2015年(平成27年)に国の重要文化財に指定された。広大な緑溢れる庭園に囲まれ、ガラスのレリーフや手すりのデザインなど、室内装飾や建物自体がすでに美術品。4月の庭園は毎年数多くのお花見客で賑わう。2014年11月22日リニューアル・オープン。
1964年開館の畠山記念館が、2019年3月に改築工事のため長期休館し2024年3月に新館竣工、2024年10月5日に荏原 畠山美術館と名称変更し開館。旧畠山記念館の約3倍に拡張され、3フロアの展示室と最新設備を備えている。茶の湯の美術館として親しまれてきた同館の収蔵品は、創立者畠山一清が蒐集した美術品を中核とし、国宝6件、重要文化財33件を含む1300件に及び、茶道具を中心に、書画、陶磁、漆芸、能装束など多岐にわたる。年4回の展覧会毎に展示品を替え公開。
庭園情報:6つのお茶室が点在する緑豊かな庭園は、露地を思わせる石畳のアプローチを進みながら散策ができる。一部のお茶室は、年一回の茶室公開や特別公開の際に内部の見学ができる。また、茶会などの貸席として利用することもできる。
茶道具を中心に、中国陶磁器、絵巻と古筆、墨跡、古写経、銅鏡、刀剣など日本と東洋の古美術を展示。国宝、重要文化財を含む4000点余りの美術品を1年に6~7回の展示替え。中でも国宝「源氏物語絵巻」や「紫式部日記絵巻」は有名。
庭園情報:約6000坪の敷地の中にある庭園は、「大日如来」や「六地蔵」などの石仏が点在し、上野毛のコブシやツツジ、枝垂桜など四季折々の花が楽しめる。散策路には明治時代に建てられた茶室もあり茶会に利用されている。有料で庭園のみの鑑賞も可能。
明治期から昭和期にかけて活躍した日本画壇の巨匠・川合玉堂が、青梅市御岳渓谷で過ごしたのを記念して建てられた。奥多摩の自然と見事に融合した建物は、数奇屋建築で名高い、故・吉田五十八氏による設計で、本格的な枯山水庭園がある。奥多摩を描いた作品や遺品、当時のアトリエを再現した部屋などが展示されている。
庭園情報:造園家 中島健が作庭した、岩や砂などで山水を表現した枯山水庭園。アメリカの日本庭園専門誌で2022年には7位と毎年上位に選ばれている。
東京近郊の庭園がある美術館
19世紀後半から20世紀前半に作られたイギリスで制作された 幻の名窯、ドルトン・ランベスの陶磁器を中心に展示。 展示棟の周囲約2600平方メートルに、英国家資格を持つガーデナーの監修に基づいた イングリッシュガーデンも必見。
日本画家・山口蓬春の本画をはじめ、素描、模写や、蓬春が長年にわたり収集した 美術品などを随時展示替えを行いながら公開。 著名な日本建築家である吉田五十八氏設計のアトリエ、四季の趣豊かな庭園を公開している。