茶碗、茶杓、茶入、釜、水差、花入、香合、軸などの茶道具を鑑賞できる東京の美術館をご紹介します。美術館の創設者の多くは明治以降に実業家として活躍し、日本や東洋の美術を愛した人たちです。美術館に茶室を設けたり、茶会、呈茶など茶道に関するイベントも行っています。
茶碗、茶入、茶杓などの茶道具を中心に、中国陶磁器、絵巻と古筆、墨跡、古写経、銅鏡、刀剣など
日本と東洋の古美術を展示。国宝、重要文化財を含む4000点余りの美術品を1年に6~7回の展示替え。
中でも国宝「源氏物語絵巻」や「紫式部日記絵巻」は有名。
庭園の散策路には明治時代に建てられた茶室「古経楼」や、立礼席の茶室「冨士見亭」(ともに国の登録有形文化財)があり、通常は非公開であるがお茶会や特別公開の時に建物の内部を鑑賞できる。
岩﨑彌之助、小彌太の父子二代により蒐集された美術品を収蔵、展示する美術館。絵画、彫刻、書跡、漆芸、茶道具、刀剣、中国陶磁、浮世絵など幅広いジャンルからなり、曜変天目茶碗などの国宝7件、重要文化財84件を含む、およそ20万冊の古典籍(漢籍12万冊・和書8万冊)と6,500件の東洋古美術品を所蔵。2022年10月に展示ギャラリーが世田谷から東京丸の内の重要文化財・明治生命館1階に移転、日本を代表する近代洋風建築のなかで作品を鑑賞できる。常設展示は無く、企画展でテーマに沿った作品を紹介している。
絵画、 書跡、彫刻、陶磁、漆芸、金工、木竹工、染織など、東洋古美術品を多岐に渡り収蔵し、
国宝、重要文化財等も多数みられる。
創立者の根津嘉一郎自ら青山と号して茶の湯をたのしみ、多くの名物茶器を収集したことから、
茶の湯の道具が充実しており日本を代表する茶の美術館として知られている。
施設内には茶席やさまざまな石造物が配置された緑豊かな庭園があり、四季の移ろいを楽しみながら散策できる。4棟ある茶室では、お茶会や茶室一般公開などのイベントが開催される。
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1964年開館の畠山記念館が、2019年3月に改築工事のため長期休館し2024年3月に新館竣工、2024年10月5日に荏原 畠山美術館と名称変更し開館。旧畠山記念館の約3倍に拡張され、3フロアの展示室と最新設備を備えている。茶の湯の美術館として親しまれてきた同館の収蔵品は、創立者畠山一清が蒐集した美術品を中核とし、国宝6件、重要文化財33件を含む1300件に及び、茶道具を中心に、書画、陶磁、漆芸、能装束など多岐にわたる。年4回の展覧会毎に展示品を替え公開。
重要文化財の三井本館の中に創られ、三井グループで知られる三井家が
江戸時代から収集した美術品4000点を収蔵展示する美術館。
所蔵品は国宝、重文など名品優品が含まれる茶道具類を主とし、他にも円山応挙をはじめとする円山派の絵画
中国古拓本の聴氷閣コレクション、書跡、能面などを所蔵。
展示室内には、三井家にゆかりのある国宝・茶室「如庵」を忠実に再現した展示ケースがあり、季節に合わせた茶道具の取り合わせを楽しめる。※「如庵」は織田有楽斎(織田信長の実弟)が京都・建仁寺境内に建てた茶室で、明治41年に三井家が所有、その後売却され現在は愛知県犬山市に移築されている
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手鑑「見努世友」、伝藤原行成「久松切和漢朗詠集」をはじめ日本、中国の書跡の名品や縄文土器から江戸時代までの日本の主要な陶磁器、伴大納言絵巻(国宝)やジョルジュ・ルオーなど国内外の絵画など多彩なコレクションを収蔵、展示。収蔵品による企画展は年6回、特別展も開催。東京の帝国劇場9階に位置し、皇居周辺が眺められるようにソファが配置されたロビーが休憩スペースとなっている。
茶道具は野々村仁清の色絵芥子文茶壺(重要文化財指定)、本阿弥光悦の赤楽兎文香合(重要文化財指定)を始めとする茶道工芸美術品を所蔵。館内の一角には谷口吉郎氏が設計した茶室「朝夕菴」があり、展覧会と併設して季節にあわせた茶道具の展示を楽しめる。
『生活の中の美』を基本理念とし、1961年東京・丸の内に開館、2007年に六本木・東京ミッドタウンに移転した。
収蔵品は、絵画、陶磁、漆工、染織など日本の古美術から東西のガラスまで、国宝1件、重要文化財15件、重要美術品21件を含む約3,000件に及び、常設展は無く年間約6回の企画展などで公開している。
サントリー美術館の6階に茶室「玄鳥庵」があり、通常非公開であるが展覧会開催中の指定日にお茶と季節のお菓子を振舞う呈茶席を設けている。また貸席としても利用できる。
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