一人の作家だけに焦点を当てた魅力ある個人美術館をご紹介。初期から晩年までの作品や資料、現存や復元されたアトリエや居室、仕事道具や自身のコレクションなど様々な展示から芸術家の足跡を辿り、日常を垣間見ることもでき、より深く知ることでアートの面白さを感じることでしょう。
カラーメゾチントの新しい版画技法を開拓した作家として知られる、浜口陽三の作品を収蔵・常設展示する唯一の美術館。ヤマサ醤油株式会社10代目濱口儀兵衛の三男として生まれ、1998年にヤマサ醤油株式会社が開設した美術館には、初期作品から晩年まで幅広いコレクションの中から各時代の代表作を50点ほど選び、愛用の道具類と共に紹介している。
大画面の作品を描いた画家として知られる日本画家・川端龍子が、自身の作品を展示するため自ら設計した記念館。作品はテーマに沿って企画展示され、スケールの大きな作品を鑑賞することができる。記念館の向かいには亡くなるまで過ごした旧居やアトリエ、庭園があり1日3回案内付きの見学会が行われる。
日本近代洋画を代表する黒田清輝の遺言により、美術の奨励事業に役立てるようにと美術研究所として建てられた記念館。現在館内には、広く知られる「湖畔」をはじめとする油彩画、デッサン、写生帖、書簡などを収蔵、展示している。2015年1月2日リニューアル・オープン。
近代日本画の大家、横山大観が居住し制作活動を行った家屋を記念館として開放。 大観の作品「風雨・双龍争珠・四時山水・或る日の大平洋など」30点やスケッチ帳など所蔵の作品を展示。 春夏秋冬、年4回展示替えを行っている。
洋画家であり書家でもあった中村不折(1866ー1943)が、その半生40年余りにわたり独力で蒐集した、中国及び日本の書道史上重要な資料を展示する専門博物館。 本館では金石関係の考古品を常設展示、新館の中村不折記念館では、企画展・特別展を年に3~4回行い、紙本関係の収蔵品を紹介している。
日本近代彫塑の基礎をつくった彫塑家、朝倉文夫の美術館。人物像や動物像など初期から晩年までの作品を展示。 自ら設計した建物は住居、アトリエ、彫塑塾などからなる。 西洋建築と日本建築の要素が見事に違和感なく調合、融合している。
浮世絵師 葛飾北斎が生まれ育ったゆかりの地に建つ美術館。北斎の作品や資料を主に所蔵し、墨田区が収集したもの、北斎や浮世絵研究で知られるピーター・モースや楢崎宗重から譲り受けたものなどがあり企画展などで公開している。常設展示では北斎のアトリエ再現模型や、北斎漫画などをタッチパネルで紹介している。建築設計は妹島和世建築設計事務所。
前衛芸術家・草間彌生が設立した美術館で、草間作品のコレクションを日時指定の完全予約制の展覧会で紹介している。館内はガラス一面の水玉模様のエントランスを始め、5階の屋上ギャラリーまで各階ごとにテーマに沿って作品が展示されている。また、エレベーターやトイレも水玉柄になっている。
絵画、彫刻、太陽の塔をはじめ巨大なモニュメントや壁画など、あらゆる作品の構想を練り、 制作した岡本太郎のアトリエが記念館となっている。
昭和洋画壇を代表する画家・宮本三郎が、長きにわたり制作の拠点とした場所に、世田谷美術館の分館として開館した美術館。宮本家より寄贈を受けた油彩、水彩・素描合わせて4,000点近くの膨大な作品を、年間を通じて様々な視点で紹介している。
「サザエさん」の作者 長谷川町子の美術館。2020年には分館の長谷川町子記念館を開館。美術館では町子と姉の蒐集した日本画、洋画、工芸品などの作品から収蔵コレクション展が年数回行われる他、サザエさんをテーマにした企画展も開催。またアニメサザエさんの制作や磯野家の間取り等の資料を展示するコーナーがある。記念館は長谷川町子の世界を楽しめる空間として常設展示室「町子の作品」「町子の生涯」、原画資料を様々な角度から紹介する企画展示室がある。
簡略化された形や、色面に独自の画風を生みだした熊谷守一が40数年住んだ池袋の旧居跡に建てられた美術館。1階の展示室には油絵を中心に約30点、2階の展示室には墨絵や書、パステル画、クロッキー等、初期から晩年までの様々な作風の作品が展示されている。
挿絵画家・高畠華宵の明治、大正、昭和の作品と、画家であり詩人でもある竹久夢二の日本画やスケッチ、表紙、口絵、挿し絵などの作品を展示。また蕗谷虹児、加藤まさを、中原淳一、小村雪岱、木村荘八、河野通勢らの作品も公開している。
子供達の何気ない仕草や表情などを描いた絵本画家いわさきちひろ。内藤廣設計によるこの美術館は、ちひろが最後の22年間を過ごし、 絵を描きつづけた場所に建設され、ちひろ愛用のソファに座って絵が観られる展示室、より忠実に復元されたアトリエやちひろの愛した草花が咲く「ちひろの庭」など、 ちひろの思い出があふれている。※画像はちひろのアトリエ(復元)
小平市が生んだ、日本近代木彫界の巨匠彫刻家・平櫛田中(文化勲章受章者)の終えんの館を保存し、公開するために展示館として開館。庭園を観賞する中で、平櫛田中芸術の真髄(優れた写実力と深い精神性、彩色など)を味わえる。
明治期から昭和期にかけて活躍した日本画壇の巨匠・川合玉堂が、青梅市御岳渓谷で過ごしたのを記念して建てられた。奥多摩の自然と見事に融合した建物は、数奇屋建築で名高い、故・吉田五十八氏による設計で、本格的な枯山水庭園がある。奥多摩を描いた作品や遺品、当時のアトリエを再現した部屋などが展示されている。