茶碗、茶杓、茶入、釜、水差、花入、香合、軸などの茶道具を所蔵・展示する全国の美術館をご紹介。国宝の天目茶碗、楽焼で有名な楽家の美術館、点前を体験できる、日本庭園や茶室があるなど魅了ある美術館も多い。外国の方への日本文化の紹介や体験にも。
江戸時代に本間家の別荘として築造された「清遠閣」、昭和43年に建てられた新館、 そして鶴舞園と呼ばれる廻遊式庭園からなる美術館。 本間家に伝わる庄内藩酒井家、米沢藩上杉家など東北諸藩からの拝領品を中心に展示している。
茶碗、茶入、茶杓などの茶道具を中心に、中国陶磁器、絵巻と古筆、墨跡、古写経、銅鏡、刀剣など 日本と東洋の古美術を展示。国宝、重要文化財を含む4000点余りの美術品を1年に6~7回の展示替え。 中でも国宝「源氏物語絵巻」や「紫式部日記絵巻」は有名。2012年10月リニューアルオープン。
岩﨑彌之助、小彌太の父子二代により蒐集された美術品を収蔵、展示する美術館。絵画、彫刻、書跡、漆芸、茶道具、刀剣、中国陶磁、浮世絵など幅広いジャンルからなり、曜変天目茶碗などの国宝7件、重要文化財84件を含む、およそ20万冊の古典籍(漢籍12万冊・和書8万冊)と6,500件の東洋古美術品を所蔵。2022年10月に展示ギャラリーが世田谷から東京丸の内の重要文化財・明治生命館1階に移転、日本を代表する近代洋風建築のなかで作品を鑑賞できる。常設展示は無く、企画展でテーマに沿った作品を紹介している。
絵画、 書跡、彫刻、陶磁、漆芸、金工、木竹工、染織など、東洋古美術品を多岐に渡り収蔵し、 国宝、重要文化財等も多数みられる。 創立者の根津嘉一郎自ら青山と号して茶の湯をたのしみ、多くの名物茶器を収集したことから、 茶の湯の道具が充実しており日本を代表する茶の美術館として知られている。 施設内の広大な自然味の深い庭園の散策も楽しめる。
1964年開館の畠山記念館が、2019年3月に改築工事のため長期休館し2024年3月に新館竣工、2024年10月5日に荏原 畠山美術館と名称変更し開館。旧畠山記念館の約3倍に拡張され、3フロアの展示室と最新設備を備えている。茶の湯の美術館として親しまれてきた同館の収蔵品は、創立者畠山一清が蒐集した美術品を中核とし、国宝6件、重要文化財33件を含む1300件に及び、茶道具を中心に、書画、陶磁、漆芸、能装束など多岐にわたる。年4回の展覧会毎に展示品を替え公開。
重要文化財の三井本館の中に創られ、三井グループで知られる三井家が 江戸時代から収集した美術品4000点を収蔵展示する美術館。 所蔵品は国宝、重文など名品優品が含まれる茶道具類を主とし、他にも円山応挙をはじめとする円山派の絵画 中国古拓本の聴氷閣コレクション、書跡、能面などを所蔵。
金沢で酒造業を営む実業家で茶人の中村栄俊氏が設立した美術館が始まりで、その後金沢市に所蔵品が寄贈され金沢市立中村記念美術館となった。茶道具、近世絵画、古九谷、加賀蒔絵など、中村氏収集の名品を核に、個人からの寄贈なども加わり、現在、重要文化財5点、県指定文化財1点、市指定文化財8点をはじめ約千点を所蔵し、年4~6回の企画展で公開、茶会など多彩な行事も開催している。石川県金沢市の本多の森公園に接し緑に囲まれた自然環境の中に建っている。附属施設として茶室があり茶会、句会、香席などで利用できる。
本阿弥光悦作「国宝・白楽茶碗(銘不二山)」をはじめ茶道具を中心とする工芸品、絵画、書蹟など 国宝・重要文化財・重要美術品29点を含む600点あまりの古美術品と シャガール、ルノワールなどの近・現代西洋絵画を収蔵、展示。
コレクションの中心は、明治以降の近代日本画と茶碗、花入などの茶道具、更に日本洋画と現代陶芸など。 テーマ展示では茶道具の展覧会も行われる。茶会のできる茶室のある庭園には四季を通して季節の花が咲き誇り また回遊式の庭園には様々な形態の燈籠が点在、散策が楽しめる。
野村証券、大和銀行などの金融財閥を一代にして築き上げた野村徳七のコレクションをもとに開設される。 徳七は茶の湯と能に深く傾倒したため、茶の湯に関係の深い掛軸、花器、器や 能に関する美術工芸品を展示している。椅子に腰掛けて、気楽に抹茶を楽しめる立礼茶席がある。
住友家が蒐集した美術品を展示する美術館。 15代当主春翠が蒐集した中国古代の青銅器、鏡鑑の他、中国・日本の絵画書跡、茶道具・文房具を中心とする 工芸品なども幅広く収蔵。館蔵青銅器を常設で4つの展示室に分けて陳列している。
1978年、樂家に隣接して設立された樂焼の美術館。所蔵品は約900点。 初代長次郎から始まって十五代、樂家に伝来する樂歴代作品、茶道工芸美術、 樂家文書資料などを季節ごとテーマに沿った展観を行っている。
代々の清右衛門が精進を重ね、工夫を凝らした茶の湯釜の伝統と様式を、広く公開するために開設。 400年にわたって選ばれた名品を展示するだけでなく、 京釜鑑賞茶会、京釜文化講演会など 茶の湯釜に関する研究や発表の場としても活用される。館内には茶室がありお茶会に利用できる。
江戸時代後期の大名茶人、松江藩七代藩主・松平不昧公の愛蔵品の茶器をはじめ、書、花入、茶杓など 公自らの作品や「不昧公お好み道具」と呼ばれる公の注文品、楽山焼・布志名焼などの郷土の工芸品など 茶道に関する美術品を常設展示している。