美術館に出掛けた時、まず最初に眼に入るのは美術館の建物です。 景観に溶け込みながらも存在感ある素晴らしい建物に、美術鑑賞への期待も膨らみます。 名立たる建築家の設計した建物、そしてそこで作品を観賞することも美術館を訪れる楽しみの一つです。
三内丸山遺跡の発掘現場から着想を得たという建物は、気鋭の建築家青木淳氏が設計。約9m×15mのシャガールの巨大なバレエ「アレコ」の舞台背景画をはじめ、奈良美智、棟方志功、寺山修司など青森県出身アーティストの作品が鑑賞出来る。青森ならではの芸術創造の現場を体感出来る空間。
明治期には映画館、昭和初期には日活本社が建っていた場所で、1952年に国立近代美術館の映画部門として始まり、1970年に東京国立近代美術館フィルムセンターと改名して開館。その後の活動を経て、2018年4月に独立行政法人国立美術館の6番目の館として設立された日本で唯一の国立映画機関。国内外の映画フィルムや、ポスター、映写機など映画関連の貴重な資料を所蔵し、所蔵フィルムの上映や映画に関する企画展示を行っている。
2011年6月リニューアルオープンの美術館は、2010年にオープンした図書館棟と一体化した「知の複合施設」。美術作品からポスター、椅子などのデザイン資料約4万点を所蔵するほか、「椅子ギャラリー」や「イメージライブラリー」も併設。年間十数回の多彩な企画展示やコレクション展の開催を予定している。
ロダン、ムーア、マンズーなど西洋の近代彫刻を主としたコレクションを中心に、年に数回の企画展と、コレクション展を交互に開催している。また、建築家の阿部仁史設計の太平洋を見渡せる丘陵地に建つ美術館は、鋼板を用いた外観や内部の個性的な空間も見どころです。
— 美術館・博物館設計での主な受賞歴 —
● 菅野美術館/日本建築学会作品選奨(2009年)
旧秋田県立美術館(平野政吉美術館)を前身とし、2013年9月に移転再オープン。秋田の資産家である平野政吉が蒐集した美術品をコレクションの核とし、中でも藤田嗣治の作品は1930年代の藤田の画業を俯瞰する作品群として広く知られている。2階・3階の吹き抜けの大空間では縦3.65m、横20.50mの壁画《秋田の行事》を鑑賞できる。千秋公園を望む地に建つ美術館は安藤忠雄設計で、水を張った「水庭」や支柱や壁からの支えがない螺旋階段など建築の見所も多い。
収集と展示の中核には、ロダンから20世紀にかけての海外作品及び日本の近代彫刻家の作品や、内外の版画作品。また、郷土ゆかりの日本画、洋画、日本近代を代表する名作、現代美術作品まで幅広い。美術館の設計は安藤忠雄。
縄文象嵌の人間国宝である島岡達三の陶芸作品や、長野出身の洋画家・栗林今朝男の絵画、 第二次世界大戦以前に日本で発売されたクラッシックを中心にした、SPレコードのコレクションを収蔵。
日本画の野長瀬晩花、洋画の川口軌外、版画の田中恭吉、彫塑では保田龍門などの郷土作家の作品、 ピカソ、パウル・クレー、ムンク、ルドンなど海外の近・現代版画コレクション、 洋画の佐伯祐三作品を収蔵、展示している。
成羽町出身の洋画家であり、大原コレクション(大原美術館)のヨーロッパ美術作品の収集に力を注いだ 児島虎次郎の絵画と、虎次郎が外遊中に集めたエジプト遺物等を紹介するオリエント展示室、 日本最古の植物化石を展示する化石展示室がある。
美術館は瀬戸内海に浮かぶ島、直島の南側に位置し、自然と人間を考える場所として2004年に開館。 クロード・モネ、ウォルター・デ・マリア、ジェームズ・タレルの作品が永久展示されている。
— 美術館・博物館設計での主な受賞歴 —
● 地中美術館/第48回建築業協会賞(2007年度)
● 大阪府立近つ飛鳥博物館/第26回日本芸術大賞(1994年度)
陶芸家・板谷波山、洋画家・森田茂、皮革工芸家・大久保婦久子の作品をはじめ、漆芸家・大西勲、版画家・飯野農夫也、書家・浅香鉄心、水彩画家・柳田昭など、郷土に縁の有る作家の作品が所蔵されている。建物の設計は、日本芸術院会員である池原義郎。
長い歴史と伝統を誇る九谷焼の流れを受け継ぎながらも、現代感覚を生かした独自の世界を表現した、 石川県出身の九谷焼の陶芸家・浅蔵五十吉(1996年文化勲章受賞)の代表作品を展示。
日本でも珍しい漆喰芸術の美術館。松崎町出身の鏝絵の名工・入江長八による、 西洋のフレスコに優るとも劣らない漆喰鏝絵の作品約50点を展示。
海と山に囲まれた三陸・気仙沼に建ち、常設展では金山に関する資料や鮎貝家などの歴史資料 、第9代横綱秀の山、落合直文等の人物資料、鹿踊、田植踊の郷土芸能資料など 地域の文化資源を素材としたものを展示している。
— 美術館・博物館設計での主な受賞歴 —
● 伊豆の長八美術館/吉田五十八賞(1985年)
● リアス・アーク美術館/日本建築学会賞作品賞(1995年)
湯浅一郎・福沢一郎など県ゆかりの作家たちの作品、安井曾太郎・岸田劉生など日本の近代美術、 海外の近代美術、日本と中国の古美術を中心とした戸方庵井上コレクション、 そして現代美術のコレクションの代表作を紹介、常設展示している。
国際的に活躍されている荒川修作+マドリン・ギンズ、岡崎和郎、宮脇愛子の 4人の芸術家に巨大作品をあらかじめ制作依頼。 世界的な建築家・磯崎新による設計の建物と作品とが半永久的に一体化した美術館。
大正以後から現代までの日本近代洋画の作品、館内や裏庭に設置された近代彫刻、 ドーミエ、ピカソ、池田満寿夫などの版画、浮世絵、中国美術など多彩なコレクションを収蔵、展示している。
— 美術館・博物館設計での主な受賞歴 —
● 群馬県立近代美術館/日本建築学会賞作品賞(1975年)
建築家・伊東豊雄が選んだ約100件のプロジェクト図面を中心に収蔵する日本初の建築ミュージアム。鉄板で構成された外観が目を引く、作品を展示するスティールハットと、伊東豊雄の旧自邸を再生し、ワークショップやリサーチのスペースとしたシルバーハットの2棟で構成されている。
— 美術館・博物館設計での主な受賞歴 —
● 八代市立博物館・未来の森ミュージアム/毎日芸術賞(1991年)
第34回 建築業協会賞(1993年)
金属工芸、金属造形を中心に、郷土にゆかりの深い作家や、郷土美術・工芸に大きな影響を与えた作家の作品を所蔵。また、個性的な企画展も開催している。 2015年12月、美術館2階に高岡市ゆかりの漫画家 藤子・F・不二雄氏の「高岡市 藤子・F・不二雄ふるさとギャラリー」がオープンした。
緑豊かな砧公園の一角に位置する美術館。近現代の作品を中心に、日本国内や海外の作品も含め約16,000点の美術作品を収集。なかでも、アンリ・ルソーなど素朴派などの作品、世田谷区ゆかりの作家の作品は、コレクションの大きな柱となっている。また、北大路魯山人の作品、駒井哲郎の版画作品も多く所蔵している。
— 美術館・博物館設計での主な受賞歴 —
● 世田谷美術館/毎日芸術賞(1986年)、45回日本芸術院賞[建築](1988年度)
1000点を超える収蔵作品のなかから代表作約50~80点を展示するとともに、 年に数回の特別展・企画展を開催。 17世紀のレンブラントから20世紀美術に至る多彩なコレクション収蔵している。
佐竹北家家臣の屋敷跡に建つ美術館。角館出身で近代日本画の平福穂庵・百穂の作品や、 平賀源内より洋画法を習い、日本の洋画の曙光といわれた小田野直武をはじめとする秋田蘭画作品、 穂庵・百穂門下の郷土画人の作品を展示。
20年に一度行われる神宮式年遷宮を記念して建てられた美術館。 当代を代表する美術・工芸家から神宮に献納された絵画、書、彫塑、工芸などを収蔵、展示。
小平市が生んだ、日本近代木彫界の巨匠彫刻家・平櫛田中(文化勲章受章者)の終えんの館を保存し、公開するために展示館として開館。庭園を観賞する中で、平櫛田中芸術の真髄(優れた写実力と深い精神性、彩色など)を味わえる。田中が107歳で亡くなるまでの約10年間を過ごした大江宏設計の旧宅は記念館となっている。
古来多くの画家によって描かれてきた富士山。近現代の画家が独自の視点で富士に挑んだ秀作を主体にコレクション、展示している美術館。芸術家の眼を通したさまざまな富士が見られる。富士急ハイランド、ホテルハイランドリゾートに隣接。建物の設計は建築家・大江匡。
コレクションは愛染明王像(平安時代)をはじめ30数件の重要文化財が含まれ、 日本美術のほとんどすべての分野、時代を網羅。 各季節、多彩な企画展を開催。最上階は数寄屋建築の名匠、中村外二による展望茶室「古香庵」も。
— 美術館・博物館設計での主な受賞歴 —
● 細見美術館/第40回 建築業協会賞(1999年)
中近東の歴史的文化を専門的に研究、成果を公開する施設。 「粘土の文明シュメール」「ファラオの時代のエジプト」「ローマ時代の中近東」 そして「モンゴルの侵入とイル・ハーン朝」など収蔵品で、年代順に常設展示。
宮崎県出身の前衛画家瑛九の油彩画、銅版画、リトグラフ、 フォト・デッサン等の作品を中核とし、 本県出身や本県ゆかりの作家の作品、ピカソ、海老原喜之助など国内外の著名な作家の作品、 イタリア近・現代の彫刻作品などを収集、展示している。
— 美術館・博物館設計での主な受賞歴 —
● 宮崎県立美術館/第52回 日本芸術院賞[建築](1995年度)
平成元年に設立された私設美術館を中津市が購入・整備し、平成22年10月に市の常設展示施設としてオープン。洋画家 中山忠彦をはじめ、市所蔵の中津出身画家の作品や中津にゆかりの深い美術資料を紹介している。美術館の建物は、コンクリートの打ちっぱなしに和の素材を取り入れたデザインで、建築家:大江匡の設計。
江戸東京の歴史遺産を守り、東京の歴史と文化を振り返ることによって未来の東京を考えるために設立された博物館。常設展示室は「江戸ゾーン」「東京ゾーン」「第2企画展示室」で構成。浮世絵や絵巻、着物、古地図、大型模型などが展示されている。※大規模改修工事のため全館休館中(~2025年度(予定))
現代具象絵画の巨匠ベルナール・ビュフェのモノクロームの初期から晩年までの代表作品(油彩・水彩・デッサン、その他版画)などを所蔵。美術館の設計は菊竹清訓。ビュフェこども美術館も併設している。
松江の宍道湖畔に建ち水との調和をテーマにした美術館。水を画題とする絵画、日本の版画、国内外の写真、木を素材とした彫刻、島根の美術を重点的に収集、展示。 自然環境と調和した建物は菊竹清訓の設計。また夕日を観賞できるよう3月〜9月は日没後30分まで開館していることも人気のひとつ。
江戸時代後期の大名茶人、松江藩七代藩主・松平不昧公の愛蔵品の茶器をはじめ 書、花入、茶杓など公自らの作品や 「不昧公お好み道具」と呼ばれる公の注文品、楽山焼・布志名焼などの 郷土の工芸品など、茶道に関する美術品を常設展示している。
— 美術館・博物館設計での主な受賞歴 —
● 島根県立美術館/第7回しまね景観大賞(2000年)、第9回公共建築賞優秀賞(2004年)
1980年代のアメリカ美術を代表するアーティスト、キース・ヘリングの作品約200点を所蔵し、ヘリングの芸術とそのエネルギーを感じることができる美術館。自然豊かな八ヶ岳に建つ美術館は、「闇から希望」をテーマに建築家の北川原温が設計。2015年には、リニューアルにより新たな展示スペースが増えた。
地元・不知火出身の芸術家たちの作品を収蔵、展示する美術館。ブラジルのピカソとも呼ばれた日系ブラジル人の抽象画家マナブ間部、昭和初期に活躍した写真家河野浅八、日本版画界を代表する版画家の1人野田哲也を始めとする作品を企画展と常設展で紹介。建築家 北川原温が設計したルーバーを多用した近代的な建物も特徴。
— 美術館・博物館設計での主な受賞歴 —
● 中村キース・へリング美術館/第21回 村野藤吾賞(2008年)、 日本建築家協会日本建築大賞(2009年)、第66回日本芸術院賞(2010年)
● 宇城市不知火図書館・美術館/日本建築学会作品選奨(2002年)
「美を結ぶ。美をひらく。」をミュージアムメッセージとして掲げ、20 07年3月、六本木に新たにオープン。コレクションは、「生活の中の美」を中心テーマとし、絵画、陶磁器、漆工、東西のガラス、染織など、日本人の生活に密着した作品を所蔵している。
絵画、 書跡、彫刻、陶磁、漆芸、金工、木竹工、染織など、東洋古美術品を多岐に渡り収蔵し、国宝、重要文化財等も多数みられる。茶の湯の道具と仏教美術品はことに充実している。施設内の広大な自然味の深い庭園の散策も楽しめる。
栃木県出身の実業家、青木藤作氏より寄贈されたコレクションを中心に、歌川広重の肉筆画を始め、広重や他の絵師の版画、近代洋画の川村清雄等の作品を収蔵、展示している。建築家・隈研吾設計による平屋建て、切妻の屋根の建物は、自然豊かな那珂川町の景観に溶け込んでいる。
— 美術館・博物館設計での主な受賞歴 —
● 那珂川町馬頭広重美術館/第14回村野藤吾賞(2000年度)
● 根津美術館/毎日芸術賞(2010年)、第52回 建築業協会賞(2011年)
コレクションを持たず、国内最大級の展示スペースを生かした多彩な展覧会の開催、美術に関する情報や資料の収集・公開・提供、教育普及等、アートセンターとしての役割を果たす新しいタイプの美術館。透明で大波のようにうねるガラスカーテンウォールが特色。
日本設計共同体
ガラス作家・吉本由美子の「ガラスの天使」、横山尚人の「グラスデコール」、ローマ帝国時代のガラス・ローマングラス、郷土出身の南画家・児玉果亭の作品などを常設展示。特別展も開催している。
小松出身の銀行家故本陣甚一氏のコレクション1,000余点を中心とした美術館で、近現代の日本画を中心に、油彩画、書画、陶磁器、漆工、金工、木工・木彫、人形、ガラスなど多岐にわたる。黒川紀章の設計による建物は、江戸時代の蔵を現代風にアレンジしたユニークな円筒形をしている。
名古屋文化圏(伊勢湾周辺地帯)にゆかりの作家を中心とした北川民次、三岸節子 荒川修作、河原温、桑山忠明などの作品に「エコール・ド・パリ」 「メキシコ・ルネサンス」「現代美術」の収集方針に加え、常設展や常設企画展、特別展を開催。
第二次世界大戦以降の現代美術の流れを示すコレクションを中心に、 ヘンリー・ムーア、ウォーホル、池田満寿夫、吉原治良、白髪一雄など、 国内外や広島にゆかりの現代美術の絵画、版画、彫刻などの現代美術作品を展示。
ほぼ半世紀にわたり奈良・大和路の風景、伝統行事、万葉の花、仏像を撮り続けた 奈良の写真家・入江泰吉(1905~1992)の作品を常設展示する写真専門の美術館。 黒川紀章の設計の建物は、日本の伝統的なものを取り入れながらも現代的な雰囲気。
— 美術館・博物館設計での主な受賞歴 —
● 国立新美術館/第49回 建築業協会賞(2008年)
● 広島市現代美術館/日本建築学会賞作品賞(1990年)
● 入江泰吉記念 奈良市写真美術館/第48回 日本芸術院賞[建築](1991年度)
「まちに開かれた公園のような美術館」を目指し、 伝統文化息づく金沢に建設された新しい文化を創造する新感覚の現代美術館。 世界の同時代の様々な美術表現に市民とともに触れ、体感することを理念としている。
— 美術館・博物館設計での主な受賞歴 —
● 金沢21世紀美術館/毎日芸術賞(2004年度)、日本建築学会賞作品賞(2006年)
1998年に旧中辺路町立美術館として開館、2005年から市町村の合併により、田辺市立美術館の分館として新たにスタートした。主な所蔵品は日本画の野長瀬晩花、南画の渡瀬凌雲など中辺路町ゆかりの画家の作品。建築家ユニット「妹島和世+西沢立衛/SANAA」が最初に手がけた美術館。
渋谷区松濤の住宅街にあって、独創的な造形や、光の捉え方に独特な感性をもった白井晟一設計の美術館。様々なジャンルや、時代に関わらず独自の企画展を中心に、渋谷区に関連する公募展、絵画展の他、講演会、美術映画会、美術教室、経験豊富なアーチストを招いて美術相談などを開催している。
型絵染の人間国宝に認定された染色作家・芹沢けい介の美術館。 植物、動物、風景、文字などをモチーフにした帯、着物、のれん、屏風などの型絵染作品約800点と コレクション約4500点は年3回展示替え。
「自然主義的写実主義」といわれる作風を確立した近代彫刻家、朝倉文夫の記念館。 「墓守」や「時の流れ」など貴重な作品を含む学生時代から晩年の作品や、 ゆかりの品々の展示、ビデオ上映を行っている。緑豊かな朝倉文夫記念公園内に建つ。
浮世絵師として、また世界的な芸術家としても評価が高い葛飾北斎が誕生から90年近くを過ごした地に、2016年11月開館した美術館。 墨田区が収集してきた質の高いコレクションに加え、ホノルル美術館の副主任研究員などを歴任したピーター・モースと、 日本における浮世絵研究の第一人者である楢崎宗重から譲り受けた作品や資料を収蔵、展示。
「自然と人間」をテーマとした美術館。美しい芝生に囲まれ、 周囲の景観と一体化した建築は高い評価を得ている。 調和、共生、対峙など自然と人間の様々な関わりを表現した作品を中心に展示。 植物、動物をモティーフとした作品が多く、フランソワ・ポンポン、バリー・フラナガン、 永井一正、南桂子、藤牧義夫など国内外の作品を所蔵している。
— 美術館・博物館設計での主な受賞歴 —
● 佐賀県立博物館/日本建築学会賞作品賞(1970年)
● 群馬県立館林美術館/第17回村野藤吾賞(2003年度)
鳥取出身の写真家、植田正治の写真美術館。 山陰の空、地平線、砂丘を背景に、被写体をオブジェのように配置した演出写真など、 斬新で多彩なイメージの作品などを展示している。
— 美術館・博物館設計での主な受賞歴 —
● 植田正治写真美術館/芸術選奨文部大臣賞(1996年)
長野県が日本画家・東山魁夷から作品と関係図書の寄贈を受け、長野県信濃美術館に併設して開館。年に数回テーマを設けて展示替えを行い、「風景は心の鏡である」という東山芸術を多角的に紹介する。令和元年10月リニューアルオープン
資生堂の昭和初期からのポスターや新聞、雑誌広告、CF作品など宣伝活動の制作物約2000点を展示。 創業時からのパッケージデザインや広告表現などから、時代の移り変わりを見ることができる。 年数回、絵画、彫刻、工芸品の企画展も開催。
国内外の近現代の美術とデザイン分野の作品を収集、展示。 展示室は漆芸術家、高橋節郎の寄贈作品を常設展示する高橋節郎館を含めて大小あわせて11室。 展示方法等に工夫を凝らし、各展示室とも来館者に最良の鑑賞空間を提案している。
東山魁夷の祖父の出生地が坂出市櫃石島であった縁で、遺族より270点余の版画作品の寄贈を受け平成17年4月に開館。2022年10月現在版画作品292点、日本画作品8点、13点寄託、その他にスケッチ、下図、魁夷に関する資料などを所蔵。東山魁夷と県とのゆかりを紹介し、 様々なテーマで所蔵作品を展示している。 瀬戸大橋が眼前に広がり、歴史的遺産や瀬戸内海の美しい自然に 囲まれた美術館は建築家・谷口吉生の設計。
香川県出身の洋画家、猪熊弦一郎の美術館。美術学校(1921~)、パリ(1938~)、 ニューヨーク(1955~)、ハワイ(1975~)、ハワイPart2(1989~)時代の作品を常設展示。 現代美術の企画展を年6回開催。
酒田市出身の土門拳の全作品約70000点を収蔵し、年4回の展示替えを行い、 順次公開している日本最初の写真専門の美術館。土門拳は最高傑作の「古寺巡礼」をはじめ 「室生寺」「筑豊のこどもたち」など日本の美、日本人の心を写しきっている。
— 美術館・博物館設計での主な受賞歴 —
● 資生堂アートハウス/日本建築学会賞作品賞(1979年)
● 東京国立博物館法隆寺宝物館/日本建築学会賞作品賞(2001年)
● 土門拳記念館/第43回 日本芸術院賞[建築](1986年度)、吉田五十八賞(1984年)
● 丸亀市猪熊弦一郎現代美術館/第7回村野藤吾賞(1993年度)
子供達の何気ない仕草や表情などを描いた絵本画家いわさきちひろ。建築家・内藤廣の設計によるこの美術館は、ちひろが最後の22年間を過ごし、絵を描きつづけた場所に建設され、ちひろ愛用のソファに座って絵が観られる展示室、より忠実に復元されたアトリエやちひろの愛した草花が咲く「ちひろの庭」など、ちひろの思い出があふれている。
いわさきちひろの代表作や絵本の原画、初期童画、油彩などの展示や 世界各国の絵本の原画を展示。 美術館の周囲にはちひろ公園があり、復元されたちひろの黒姫山荘や、 チェコの絵本作家パツォウスカーがデザインした池や石のオブジェなどがある。 安曇野の自然にとけこむようにしてたたずむ美術館は建築家内藤廣の設計。
岡倉天心や大観、観山、春草、武山ら天心の指導を受けた五浦ゆかりの作家たちの作品を紹介。(年6回展示替)天心の業績等について、天心にまつわるエピソードを織り交ぜながらテーマを設けて資料紹介もしている。
2017年8月富山県立近代美術館が富山県美術館と名称変更し、富岩運河環水公園に移転新築。20世紀以降の国内外の近現代美術作品、ポスターや椅子等のデザイン作品を収蔵、展示。屋上庭園「オノマトペの屋上」では“ぐるぐる”“ひそひそ”など擬音語から連想した遊具で楽しめる。
美術館とホールの複合施設である島根県芸術文化センター「グラントワ」内にある美術館。4つの展示室が設けられ、「森鴎外ゆかりの作家の作品」「ファッション」「石見ゆかりの美術」に関連する作品を中心に展示している。
近代日本植物学の基礎を築いた高知県出身の植物学者、牧野富太郎を記念してつくられた植物園と記念館。 富太郎の研究資料、直筆及び収集した植物画、ホッタインの「リンネの博物誌」など 世界的にも貴重な書物を収蔵。園内の花見物もオススメ。
— 美術館・博物館設計での主な受賞歴 —
● 高知県立牧野植物園牧野記念館/第13回村野藤吾賞(1999年度)
● 鳥羽市立海の博物館/日本建築学会賞(1993年)、吉田五十八賞(1993年)、
芸術選奨新人賞美術部門(1993年)
● ちひろ美術館・東京/第45回 建築業協会賞(2004年)
十和田市による「Arts Towada」計画の中核施設としてオープンした美術館。現代美術のアーティストによる作品を常設展示する個々の展示室を「アートのための家」として独立させ、敷地内に建物を分散して配置し、それらをガラスの廊下でつなげるユニークな展示方法をとっている。
— 美術館・博物館設計での主な受賞歴 —
● 豊島美術館/第25回村野藤吾賞(2011年度)、日本建築学会賞作品賞(2012年)
第54回 建築業協会賞(2013年)
富士山、浅間山、阿蘇山、櫻島など数々の山岳風景を 雄大なスケールで描いた、文化勲章受章画家・田崎廣助の美術館。 幾何学的な壁面構成で軽井沢の自然に調和した建物は、昭和61年に日本建築学会賞を受賞している。
— 美術館・博物館設計での主な受賞歴 —
● 田崎美術館/日本建築学会賞作品賞(1986年)
旧大分県立芸術会館の収蔵品を引き継ぎ2015年4月に開館。 豊後南画の田能村竹田、日本画の福田平八郎や髙山辰雄、彫刻家の朝倉文夫をはじめ 大分県ゆかりの作家の作品を展示する他、様々な「出会い」をテーマにしたユニークな企画展も開催。 竹工芸をイメージさせる外観とガラス張りで開放感がある建物は建築家坂 茂の設計。
— 美術館・博物館設計での主な受賞歴 —
● 大分県立美術館/JIA日本建築大賞(2015年度)
天竜市出身、女流日本画家・秋野不矩がインドの風景、寺院などをテーマに描いた 作品を中心に常設展示する美術館。 建物は小高い丘の上に建ち、自然素材をできる限り自然に近い状態で使い、自然との調和に配慮している。
大正15年に上野恩賜公園に東京府(都)美術館として開館。現在の建物は1975年9月に建築家 前川國男が設計し開館。日本画・油絵・彫刻・工芸・書のほか版画・写真・盆栽など多岐にわたる美術団体の公募展を開催。また、常設展はないが、報道機関との共催で大規模な企画展を行っている。2012年4月リニューアルオープン。
大濠公園内に位置する美術館は、1979年11月建築家 前川國男の設計により開館、2019年3月にリニューアルオープン。黒田清輝、坂本繁二郎など郷土出身の近代洋画家の作品、ミロ、ダリ、アンディ・ウォーホル、大竹伸朗、やなぎみわなど近現代美術の流れを展望できる内外のすぐれた作品、旧福岡藩主黒田家の美術品や東南アジアの陶磁器コレクションなど多彩な収蔵品を有する美術館。
熊本城の二の丸広場の一角に位置し、古代から現代美術までを網羅する総合美術館で建築家の前川國男が設計。主なコレクションは日本および東洋の古美術、日本の近・現代美術、西洋美術など。他に県内の古墳を模した「装飾古墳室」があり出土遺物の実物を展示している。平成4年には旧県立図書館の再生工事で熊本県立美術館 分館が開館し、展示会場を貸出し多彩な展覧会が開かれている。さらに、平成20年には本館別棟に「細川コレクション永青文庫展示室」が開館し、江戸時代に肥後熊本の地を治めていた細川家に伝わる美術工芸品や歴史資料などを見ることができる。
七尾湾を背景に、丘の上に建つユニークな外観の美術館。 中国清朝時代のガラス工芸、ピカソ等のデザインにもとづいて制作されたガラス工芸、 国内外の現代作家のガラスアートを収蔵、展示。屋外にはガラスのオブジェを配した庭園もある。
— 美術館・博物館設計での主な受賞歴 —
● 釧路市立博物館/日本建築学会賞作品賞(1984年)
ポーラ美術館(神奈川県)
コレクションの中核は、19世紀フランス印象派やエコール・ド・パリなどの西洋絵画。 日本の洋画、日本画、東洋陶磁、日本の近現代陶磁、ガラス工芸、化粧道具等も収蔵(テーマ展示を開催)建物は2004年日本建築学会賞・作品賞を受賞。
2019年10月京都・嵯峨嵐山に開館。江戸時代から近代にかけての主要な日本画家の作品約1,500点を所蔵。中でも、円山応挙、伊藤若冲、与謝蕪村など京都画壇の作品には特に力を入れ、初公開や幻の作品なども多い。建築家安田幸一設計の建物は、伝統的な京町家のエッセンスを踏まえつつ洗練された和モダンのデザインで周囲の景観と調和している。
— 美術館・博物館設計での主な受賞歴 —
● ポーラ美術館/日本建築学会賞作品賞(2004年)、第16回村野藤吾賞(2002年度)
第45回 建築業協会賞(2004年)
画家、詩人の星野富弘の、絵画と詩を組み合わせた詩画作品を展示するため、星野富弘の出身地である群馬県みどり市の草木湖畔に建てられた美術館。 ヨコミゾマコト設計のシャボン玉をイメージした建物は、正方形の中に円筒状の大小33の部屋が集まり、展示室やショップ、カフェとなっている。
— 美術館・博物館設計での主な受賞歴 —
● 富弘美術館/日本建築学会賞作品賞(2006年)
日本と西洋の近代美術を中心に、モネ、ルノワール、ロダンや横山大観、小川芋銭、中村彝など茨城ゆかりの作家の作品を収蔵している。また敷地内には、水戸出身の洋画家・中村彝の東京都新宿区下落合にあったアトリエを新築復元している。青色の屋根と、花崗岩の茶色い壁が目印の建物は建築家・吉村順三の設計。
「麗子像」をはじめとする岸田劉生の作品展示室がある。
また、佐伯祐三、安井曽太郎、熊谷守一やロダン、ルノワール、ピカソ等、
巨匠の名画から高麗・李朝の陶磁器に至る矢吹コレクションを展示。
※遺作となった和風の美術館
— 美術館・博物館設計での主な受賞歴 —
● 奈良国立博物館/日本芸術院賞[建築](1975年)
信楽の美しい山々に囲まれた美術館。桐紋陣幕屏風(桃山時代)などの日本の美術品や隼頭神像(エジプト)、精霊と従者浮彫(アッシリアのレリーフ)など世界の古代美術品を収蔵、展示している。建物の設計は、フランス・ルーブル美術館のガラスのピ ラミットを手掛けたI.M.ペイ。
多彩なイベントや講演会、個性的な展覧会など、独特の視点で現代美術を紹介している。 コレクションは1960年代以降に制作された海外作品が中心。
印象派の絵画およびロダンの彫刻を中心とするフランス美術コレクション(松方コレクション)を母体とした西洋の美術作品専門の美術館。中世末期から20世紀初頭の名画など世界各国の美術品を所蔵。また約4,500点を数える版画(2022年4月現在)も所蔵している。世界遺産に登録されたル・コルビュジエ設計の建物も見どころの一つ。
美術館をスミからスミまで探れる「建築探検マップ」を常設展示室で配布しています。また、国立西洋美術館HPからダウンロードすることもできます。
— 美術館・博物館設計での主な受賞歴 —
● 国立西洋美術館/世界文化遺産登録(2016年)